Wozzeck(新国立劇場)

オペラはギリシア悲劇の復活を目指して16世紀イタリアで生まれたものだが、「悲劇」は明治に作られた翻訳語で、古代ギリシア語では「山羊の歌」を意味する。

この「山羊」が何を意味するかについては今も議論があるようだが、西洋の山羊といえば生贄だろうし「ディオニュソス→ディオニュショサ祭→祭式」という有力な学説群も、少なくともルネ・ジラール的に言えばその中心に生贄思考がある。

そう考えると、ヴォツェック、ルル、ピーター・グライムズ、ムツェンスク郡のマクベス夫人などの「社会の生贄」が、20世紀の主要なオペラの主人公として登場するのは全く正しいと言え得るだろう。

音楽的には、ベルクの生涯(1885〜1935)が、同じウィーンに住んでいたフロイトの存命期間(1856〜1939)内にすっぽり収まることを考えれば(しかもベルクの師匠シューンベルクはフロイトと同じユダヤ人)、調性=意識的な音楽を超えようとした意図はよく理解できるし、それを雄弁に奏でた大野和士と都響の強力コンビは実に見事だった。

https://www.nntt.jac.go.jp/opera/wozzeck

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